ピンホール検出器 (Pinhole Detector) HOME 技術資料室 技術用語 ======================================= |
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1) | ピンホールの内容 詳細に観察すると、鋼板には意外と穴(ピンホール)が開いています。 一般的には、板厚が薄くなる程この傾向は強まります。ピンホールの発生原因には2つあると推定されます。1つは内質(介在物)起因で、代表的な欠陥である「ヘゲ・スリバー」が圧延によって伸ばされ、或いはめくれて穴(ピンホール)に繋がるケースです。2つ目は機械的原因に起因するもので、圧延中の鉄粉・鉄片等異物の飛び込みやスリ・カキ疵が圧延によって伸ばされ、穴(ピンホール)になるケースです。どちらが原因かは、ピンホールサンプルを分析すれば容易に判別できます。 |
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2) | ピンホール検出器の原理![]() なお、ピンホール検出器(Pinhole Detector)と超音波探傷器(UST:Ultra Sonic Test)は別物です。 USTは、検査物に超音波振動を与え、そのエコーを観察することで検査物の内部欠陥を検出する装置で非破壊検査装置の代表的なものですが、ピンホールの検出はできません。鉄鋼業では磁気探傷とあわせ、多く使われています。 |
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3) | ピンホールの保証精度 薄板で最もピンホールに厳格な製品はブリキとティンフリーで、用途が食缶や乾電池の場合、内容物が腐ったり洩れたりすると大きな災害や被害を与えるため、ピンホールの検出・除去には製鉄会社や製缶会社でもかなりの対策をとっています。 通常製鉄会社のブリキラインにはピンホール検出器が設置されており、ピンホールが検出された板は、剪断後検査ゲートで自動的にリジェクトされる仕組みになっています。但し、穴が開く直前の欠陥(穴前欠陥)や斜めに貫通している穴は検出されないため、検出精度は完璧ではありません。 食缶や電池に加工する際に穴前欠陥が貫通する場合もあり、缶詰や電池の最終製品になってからのリークテストもかなり厳重に行われています。 素材に対して顧客がどの程度の保証精度を要求しているかの感触をつかんでおく必要があります。 |
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4) | ピンホール部を除去する方法 この装置で製品中のピンホールを検出しても、それをどのように除去するかが問題で、下記のような方法が考えられます。 |
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等の方法がありますが、フープ製品の場合は難しく、スリッターラインで欠陥部の幅・長さ方向の位置の把握とその正確な記録が必要になり、これには検出器以上の投資が必要になります。 仮に把握できた場合でも、特定のフープに欠陥が限定されている場合はそのフープを他の用途に転売すれば済みますが、散在している可能性がある場合には母材コイルを先ずスリッターで空通しして欠陥部の分布状態を把握し、その展開図を基に材料取(精整)をする等の複雑な作業を必要とします。 最悪の場合、欠陥部が混入するフープの展開図を顧客に説明して使用してもらうとかが考えられるかも知れませんが、ピンホールの正確な位置をどのようにして顧客に伝達し、どのような方法でその部分を顧客にリジェクトしてもらうか(設備対応が必要?)、あるいは品質保証責任はどちらにあるのか、等、一層大きな問題を残すことになる可能性があります。 いずれにせよ、フープの場合の選別は、実際問題として困難でしょう。 |
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5) | 検出器メーカーの調査結果 ピンホール検出器メーカー2社で調査した結果、下記のように性能の差があります。
いずれにせよ、15μφタイプと500μφタイプでは、一長一短がありそうです。 ![]() 以下にピンホール検出器の事例を紹介しておきます。(鰹シ本電子工業のホームページより) ピンホール検出器 MPD-6000 ■原理 走行するシート材の下面から蛍光灯光源による光を照射し、ピンホールを貫通した光を上部に設けられたカメラ(センサー:CCDイメージセンサー)で受光し、信号処理回路によりシートで遮光されず入射した光と弁別され、ピンホール信号として出力されます。 ■特長
■構成及び外形寸法(MPD-6008) ●検出部(含光源):380W×1,350H×2,800L ●制御盤 :700W×2,000H×6,000D |
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