パイラー               HOME 技術資料室 技術用語
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1.パイラーの基本構造
 剪断ライン(シャーレベラーライン)のパイラーは走ってくるシートを疵付けることなくきれいに揃えて積載することが必要です。基本的な構造は下図のようになっていますが、鋼板に疵を付けないために軟着地 (Soft Landing) するよう各部にいろいろな工夫があります。
 
@ エアーブローにより後続のシートが既に積載された先行のシートに接触しないよう浮かせる。
A エンドストッパーはエアークッション又はコイルバネなどで衝突のショックを吸収して、ストッパー折れを防止する。
B サイドガイドは幅揃えを行うために一定のサイクルでスタンピング動作を行うようになっているものもある。(スタンパー
 
 
  C後続シートのトップ部のバリ(カエリ)が上を向くよう下刃を出側にする。
  2.レベルアップの技術
 更にレベルアップするための設備技術としては、以下のようなものがありますが、高級になるほど設備コストはかかります。
  (1) サイドスライド方式
 パイラーの両側からシートの両端を受けておき、最適場所に来た時点でスライドを逃がしてシートを落下させるもの。電磁石方式に比較して設備費は安価で、幅広ライン向き。

     
  (2) 回転ロール方式
 スライドロールのロール長さを短くしたものを4本組合せてスライドさせる代わりに順次回転させながらシートを落下させるもの。
        
  (3) 電磁パイラー(マグネットコンベヤー)方式 (参考)山信金属工業株式会社
 最高級レベルのものとして、パイラー上に電磁石を並べたベルトコンベヤーを設置し、最適位置でベルトを減速させて電磁石を切ってシートを落下させるもので、ベルトの速度制御と組み合わせると細かいコントロールが可能になります。但し、製品が磁性体である必要があるのと設備コストがかなり高額になります。アルミなどの非磁性体の場合にはバキュームで吸引するタイプもあります。

   積載位置にシートの到達を予測して吸着位置の電磁マグネットをOFFする方式です。シートを落下時にベルトの速度を減速する制御ができるのがマグネットパイラーの特徴でシートは軟着地が可能になり、ストッパーでの打ち疵や擦り疵は少なくなります。
   更にシートを落下時にコンベヤーベルトを停止してパイリングすることもできます。停止するとシートは垂直に落下するので、下項のようなピンガイド方式がとれ、ブランクサイズや台形の場合にも積載できます。但し、積載スピードは低下するので、生産性は低下します。
  (4) ピンガイド
 ブランキングラインやオシレートシャーのパイラーは積載するシートの形が多角形や曲線からなる形状が多く、通常の剪断ラインの場合ような直線型のガイドだけでは積載ができません。この対策として最近では電磁パイラーとコンピュターで制御するガイドピンを組み合わせたパイラーが使われています。
 多数のピンで構成されるガイドピンは初回加工時に適正な位置にセットし、製品番号と共にコンピューターに記憶させると、次回からは製品番号の指示のみで自動的にセットされます。 尚、この方式では上記の電磁パイラーによってシートをガイドピンの中に垂直に落下させる必要があります。
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