パート法 PERT (Program Evaluation and Review Technique)
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 工程計画・管理手法の1つで、仕事(プロジェクト)全体を構成する各作業の相互依存関係を下図の例のようなネットワーク図にすることで、各作業の日程計画を作成するとともに仕事全体の所要時間を算出し、所要時間の短縮を図る手法のことです。

 各作業の所要時間と作業順序を次のように表示します(これをアローダイヤグラムといいます)。各作業は矢印で表し、その上にある数字が所要時間です。○印はイベントといい、作業の開始点・完了点です。これらの情報を与えて、次のような計算をします。
 そこにあるボックスの上の数字はここから始まる作業が最も早く開始できる時刻、下の数字はここで終わる作業が遅くともこの時刻には完了していなければならない時刻です。イベント1が0、イベント6が27になっていますが、これはこのプロジェクトの最短完了時刻が27分であることを示しており、赤線はクリティカル・パスといいますが、27分に完了させるためには、これらの作業が余裕がなく遅らせてはならない作業であることを示しています。PERTとはこのような計算をする手法です。
      
大まかな手順は以下のとおりです。

 1)各工程の作業(タスク)を明確にする
 2)各工程が完了するのに必要な所要時間を見積もる
 3)工程の実行順序・工程同士の前後関係を明確にする
 4)各工程をつなぎ合わせ、ネットワーク図を作成する(各工程の開始時間、終了時間が決まる)
 5)仕事全体の所要時間を算出して、完了時間を明らかにする
 6)クリティカルパスを対象として、所要時間短縮を検討する

 PERTは、米国海軍の艦隊弾道ミサイル計画(ポラリスミサイル・システムの開発計画)の中で開発されました。米ソ冷戦下、ミサイルギャップの解消を急ぐ米国海軍は、1957年末に特別プロジェクトオフィス(SPO)にロッキード、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンからのメンバーなども含めてORチームを結成、同計画に参加する3,000人以上の要員の仕事を調整するために、スケジューリング・アルゴリズムの研究に着手しました。 チームの数学者らはグラフ理論を応用し、作業工程を各作業の開始日/終了日(結合点)とそれを矢線で結んだ図で表現しました。ここから作業工程ごとの日数データを行列計算してクリティカルパスを導き出し、仕事全体の所要時間を計算するアルゴリズムを見出しました。 この手法に基づく工程管理の結果、計画は2年近くも短縮されたと評価され、その価値が認められました。

(参考)「順序付け問題とPERT(pdf)」(日経文庫「OR入門」)
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