コイル置き場でのクサビ(楔)の効果 HOME 技術資料室 技術用語室 ================================================ ![]() 右図の場合、3つのコイル ABC が全く同じ重量と外径をもつと仮定すると、コイル A がコイル B を押す力は垂直方向に対し、30°傾いた方向になるので、摩擦力はそれぞれ以下のようになります。 |
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![]() コイルとクサビの間にかかる力 F に両者間の摩擦係数 μ1 を掛けたものが、この間にかかる摩擦力 R1 になります。 R1=F×μ1 (μ1:コイル B とクサビ間の摩擦係数) R1 の水平方向の分力 R1h がクサビを止めようとする力になるので、 R1h=R1×cos30°=F×μ1×cos30°・・・@ 又、R1 の垂直方向の分力 R1v は次項のクサビ〜床面の摩擦力を増加する働きに寄与します。 R1v=R1×sin30°=F×μ1×sin30° ![]() クサビ〜床面に掛かる力 F の水平方向の分力 Fh がクサビを横に滑らせようとする力になり、他方、垂直方向の分力 Fv とクサビ〜コイル間の摩擦力から来る分力 R1v の合計に摩擦係数 μ2 を掛けた力が、クサビを止めようとする力になります。 Fv=F×cos30° なので、クサビ〜床面の摩擦力 R2 は R2=(R1v+Fv)×μ2=(F×μ1×sin30°+F×cos30°)×μ2・・・・A (3)クサビを動かそうとする力 コイルAの重量から来るFの内水平方向の分力 Fh が、クサビを横に動かそうとする力になります。 Fh=F×sin30°・・・・・・・・・・・・・B (4)クサビに掛かる力の合計 クサビを動かそうとする力=Fh・・・・・・・・・・・B クサビを止めようとする力=R1h+ R2・・・・・・・・・・・・・・@+A 従って、R1h+R2>Fh であればコイル B の横滑りを防止することができます。 F×μ1×cos30°+(F×μ1×sin30°+F×cos30°)×μ2>F×sin30° μ1=μ2=μ とするとこの式は 0.5×μ2+(0.866+0.866)μ−0.5>0 となり、 この式を解くと、μ>{−1.772+(1.7722−4×0.5×(-0.5)}1/2/(2×0.5)=0.268 即ち、μ>0.268 となり、クサビと床との間の摩擦係数が 0.268 以上ないと、コイルを固定する効果がないことを意味します。 木材同士の場合、摩擦係数は0.2〜0.5程度なので、理想状態では、クサビの効果は期待できそうですが、木製のクサビは損傷して形状や角度が正しく保ちにくい上に、コイルと床面の間に正しく押し込むことはかなり難しく、更に床面にゴミや油などがある場合には、摩擦係数は極端に低下しますので、実態の状況を考えると余り安全とはいえません。実際にクサビが滑ってコイルが転がり、建屋を壊した例が多数あります。 横スキッドを縦スキッドに固定して、コイル 1 個ごとに置台の上に置くことが必須条件です。 ================================================ HOME 技術資料室 コイルヤード |