めっき後処理の種類と特徴       HOME 技術資料室 技術用語
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1. リン酸塩処理
 これは、亜鉛の金属面に不溶性金属リン酸塩からなる安定した堅固な皮膜を生成させ、これによって外気の浸透を防ぎ、亜鉛面を保護しようというもので、古くから簡易な防食法として知られています。
 この生成皮膜は結晶状でしかも表面が粗くなるため、塗料の密着性が良く、塗装下地として適しています。
このことから、最近では防食の目的より、むしろ塗料の密着性を上げて塗装後の耐蝕性を増大させる目的で使われる場合が多く、主として電気亜鉛メッキ鋼板に多く使われています。

2.クロメート(クロム酸)処理
 亜鉛メッキ鋼板は無処理でも耐蝕性はありますが、条件によっては空気中の水分や炭酸ガス等と亜鉛が反応して白錆となることがあります。
 この白錆の発生を防止し、亜鉛メッキ鋼板の耐蝕性を高めるために、かつてはクロメート処理が広く行われていました。しかし、人体に有害であることが判明したため、現在は下記のクロメートフリーの色々な代替技術が開発され、使われています。

3.クロメートフリー
 今まで多くの亜鉛メッキ鋼板の後処理に使われていたクロメートは6価クロムが主体でしたが、これは環境負荷化学物質とされ、現在は使われなくなっています。
 これに変わるものとして、環境にやさしい材料として、クロメートを一切使用しない無公害のクロメートフリー亜鉛メッキ鋼板が開発されています。
 これは特殊皮膜処理を施すことによって、クロメート処理を代替したもので、耐蝕性、塗装性、導電性、等いずれもクロメート処理材と同等の性能を確保しています。
 この皮膜は多くの場合、極薄い樹脂皮膜であるためクロメート処理材と較べて、耐指紋性やプレス性が向上しています。

4.特殊処理
 @亜鉛メッキ面の耐蝕性が極めて良好なもの、A塗装下地として極めて優秀な性能を持つもの、B溶接性の優れたもの、等各種の特殊処理品 (後処理) が開発、商品化され、それぞれの特性を活かした用途に選定ができます。

5.オイリング(塗油)
 オイリングは、古くから最も簡便な短期の防食法として、知られています。亜鉛メッキ鋼板の場合、加工工程での潤滑油塗布の手間を省くと共に、保管中の白錆発生防止を目的として塗油します。但し、塗装する場合には事前に脱脂する必要があります。

6.潤滑鋼板
 従来、主として弱電メーカーではプレス加工の為に塗油し、その後塗装前にフロンやトリクロロエタン等の有機化合物で脱脂していました。
 近年、これらの有機化合物がオゾン層を破壊することがわかり、地球環境保護の観点からこれらの有機化合物の使用ができなくなったため、代替策として無塗油でもプレス成形加工性に優れ、裸使用での耐蝕性や塗装印刷性にも優れた潤滑表面処理が開発されています。
 この処理は、クロメート処理を施した後、特殊な潤滑皮膜処理が行われています。滑りやすいのでコイルがつぶれたり、巻取り中に横ずれが生じてきれに巻き取れなかったり、聞いたの場合は積載後に板が崩れやすいといった取り扱い上の注意が必要です。

7.耐指紋性(UF鋼板)
 電気亜鉛メッキ鋼板にクロメート処理を施した後、特殊な有機複合皮膜処理を行ったもので、裸使用での耐蝕性と同時に、触っても指紋が付かないよう、耐指紋性を向上させた処理が行われています。

8.各後処理の白錆発生比較
  
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