生産管理システム  HOME 技術資料室 技術用語
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 コイルセンターなどの比較的規模の小さな工場での生産管理システム(業務の仕組み)は、夫々の工場独自で紙と人力をベースとして作り上げたものが一般的でした。 しかし、規模が大きくなってくると、コンピューターの力を借りないと色々なミスにつながってくる事態が発生してくるため、コイルセンターでもコンピューターによる生産管理システムの導入が 一般的になっています。

 コンピューターによる生産管理システムを導入する際には、他社をベースに作られた汎用のシステムを導入するのが簡単ですが、各工場での顧客との関係や、業務のやり方の違いが少なからずあるため、汎用システムや他社で作ったシステムをそのまま使える場合は少なく、現状の自社の業務の仕組みをベースに 手直しする必要があり、初めから自社の業務形態に合ったシステムを作った方が良い場合も多いようです。

 いずれの場合も重要なのは、その工場の業務処理の仕組み又は構想が明確化されていて関連工程との連携がうまく出来ていることが基本です。つまり、業務の仕組みが正しく構築され機能していることが必要です。

基本となる業務管理システムの例として
 顧客関連:受注管理、納期管理、顧客情報管理
 母材関連:鉄鋼メーカへの発注、入庫管理、在庫管理
 加工関連:作業指示、品質管理、生産計上、製品在庫、管理帳票、ラベル・検査表
 出荷関連:配送指示、送り状
等々があります。

 いずれにせよ、コンピューターシステム会社と充分な意見交換をしながら作り上げてゆくことが重要で、その場合現状の業務処理手順を文書化することから始める必要があります。
 更に業務処理システムは、一度作れば良いものではなく企業の成長や取巻く経済状況によって見直す必要があります。

 コンピュターシステムには従来の人手によるシステムとは根本的に異なる発想に基づく部分もあるため、双方の十分な話し合いと柔軟な歩み寄りが必要です。

<コイルセンターでの生産管理業務>
最近のコイルセンターは生産管理にコンピューターシステムを取り入れている場合が多い。
原コイルは注文に紐が付いていないのが一般的なので、各注文に最適な材質・サイズの原コイルを在庫の中から探し出して引き当てるノウハウが重要。このノウハウは鋼の知識をかなり勉強した営業部門で蓄積・伝承する必要がある。この引き当て時のミスは品質保証上の重大事故につながる危険があり、事実過去に多くの例がある。
コイルセンターの存在意義の一つは、客の倉庫代わりとしていつでも迅速に出荷できること。日本では注文確定から出荷まで1~2日程度のものがかなりある。欧州では4時間で対応できる体制をとっている会社もある。 
海外の工場で輸入される原コイルは船便数との関係で3ヶ月程度の在庫を抱えるのが一般的で、在庫量は国内に比較して多くなるのが一般的。従って原コイルヤードでの在庫は多くなり、置場管理体制が重要。どこにどのコイルが置いてあるかを把握しておく必要があり、それにはパソコンによる在庫管理が必要。 
原コイル1個の大きさよりも注文ロットは一般的に小さいので、注文完了した時点で原コイルの残りをアンコイラーへ巻き戻して母材ヤードに戻す作業が発生する(リターンコイル)。この巻戻したコイルは一般に小さめのコイルで長期在庫になる場合もあるので、仮梱包して置場をまとめると同時に、歩留管理上、残った重量を精度良く把握して在庫管理台帳の重量を修正しておく必要がある。
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