溶 射              HOME 技術資料室 技術用語
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 溶射は、コーティング材料を、加熱により溶融もしくは軟化させ(「溶」)、微粒子状にして加速し被覆対象物表面に衝突させて(「射」)、扁平に潰れた粒子を凝固・堆積させることにより皮膜を形成するコーティング技術の一種です。溶射にも様々な方式があり、使用する材料や熱源の種類等により下表のように分類されています。下記のような特徴を有するため工業的に広く利用されています。
 
  1) 液滴や粒子での皮膜なので皮膜の生成が格段に速い。
  2) 皮膜材料と被覆対象物とは機械的噛み合いによる接合のため、加熱により溶融もしくは軟化する材料ならば、ほとんどあらゆる材料が皮膜材料として使用できる。
  3) 又被覆対象物も同じ理由から、金属はもとより、プラスティックや紙など、ほとんどあらゆる材料の上に皮膜生成が可能である。
  4) 溶射ガンや被覆対象物を適宜動かすことにより、複雑形状や大面積の部材に適用可能である。
  5) 溶射方式によっては現場施工が可能である
 
1.溶射方式
熱 源 材 料
燃焼ガス フレーム溶射 溶線式 金属ワイヤー,セラミック充填プラスチックチューブ
溶棒式 セラミックスロッド
粉末式    金属,セラミックス,プラスチック
高速フレーム溶射 HVOF 金属,サーメット
HVAF 金属,サーメット
爆発溶射 D-gun プロセス 金属,セラミックス
電気 アーク溶射 金属ワイヤー,セラミック充填金属チューブ
プラズマ溶射
(D.C.)
大気プラズマ溶射 酸化物セラミックス
減圧プラズマ溶射 金属,サーメット
加圧プラズマ溶射 セラミックス,金属間化合物
水中プラズマ溶射
水安定化プラズマ溶射 酸化物セラミックス
RFプラズマ溶射 セラミックス,金属
電磁加速プラズマ溶射 セラミックスロッド,金属ロッド
線爆溶射 金属ワイヤー
電熱爆発粉体溶射法 導電性セラミック粉末,金属粉末
レーザー光 レーザー溶射 金属ワイヤー,セラミックス
その他 レーザー・プラズマ複合溶射 セラミックス,金属
コールドスプレー 金属

2.用途例
目的 被覆材料 応 用 例
耐食 亜鉛,アルミニウム,アルミニウム亜鉛合金,プラスチック,ステンレス鋼 化学プラント,鉄鋼構造物,海洋構造物
耐摩耗 超硬合金(WC-Co),自溶合金,CoCrAl合金,Al2O3-TiO2,ステンレス鋼 熱間圧延ハースロール,プレス型,熱間押出加工用ダイス,ポンプのスリーブおよびシール部,水車の羽根,製紙ロール,印刷機給水ローラー,各種機械部品
間隙調整 SiAl-ポリエステル,Ni-C ジェットエンジン圧縮機摺動部,ターボチャージャーコンプレッサハウジング
耐熱 ジルコニア(ZrO2-Y2O3, ZrO2-CaO, ZrO2-MgO),MCrAlY合金,NiCr ガスタービンブレード,ジェットエンジン燃焼器内壁,ロケットエンジンノズル
絶縁 Al2O3 電気部品
導電性 Cu,Al,NiCr ヒーター
装 飾 真鍮,各種セラミックス 家具,マンホール蓋
生体親和性 純チタン,ハイドロキシアパタイト 人工骨,人工股関節,人工歯根
その他 ジルコニア 酸素センサー,固体電解質型燃料電池電解質
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