ワイヤーロープ (Wire Rope) (JIS G3525)     HOME 技術資料室 技術用語
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 ワイヤーロープは鋼の細い線(これを素線という)をより合わせて子綱(ストランドという)をつくり、さらにその中心に麻またはポリプロピレンなどの合成繊維でつくった心綱を入れて、より合わせてつくられますが、ストランドの中心にも心綱を入れる場合もあります。

1.ワイヤロープの構成
 ワイヤーロープには素線や心綱の構成によっていろいろな梗類のものがあり、11・93表はJISに定められた構成による区分を示したもので、34種類のものが規定されています。

2.ワイヤーロープのより方
 ロープのより方には11・73図に示すように、ロープとストランドを反対の方向により合わせた「普通より」のものと、同一方向により合わせた「ラングより」のものがあり、またロープのより方向によって「Zより」と「Sより」とがありますが、「Zより」を原則としています。

3.素線の種類
ワイヤーロープには、使用する素線によって11・92表に示すE種、G種、A種、B種の4種類があり、E種はエレベータ用、G種はめっきしたものを示しています。

4.ストランドのより方
 ストランドのより方には、ストランドの各層素線が点接触をしているものと線接触をしているものがあり、前者を「交差より」、後者を「平行より」という。また後者には各層素線の組合せによって、シール形、ウォーリントン形、フィラー形、ウォーリントンシール形、セミシール形などの種類があります。(11・93表参照)

5.各区分による組合わせ
 ワイヤロープには、構成・より方・素線の各区分により、11・94表に示すような組合わせのものがあります。

6.ロープ径の測り方
 ワイヤーロープの径は、11・74図に示すようにノギスを用いて外接円の直径(2か所以上の平均値)で測ることになっています。

7.ワイヤーロープの破断荷重と重量
 ワイヤーロープの破断荷重は、“素線の総合切断荷重×「より効率」”で表わされる。「より効率」は主としてロープの構成、よりの長さ、素線の引張り強さその他のさまざまな要因で変わるものであるが、11・96表〜11・113表にJISに規定された破断荷重および単位長さにおける重量を示します。

8.保証破断力と安全率
 JISに切断荷重として表示されている数値は、ロープの最低保証の破断力を示したものです。切断荷重はロープの構成、より方の長さなどによって違ってきますが、だいたい素線の総合破断力の総和より8%〜18%くらい減少させて考えます。
 
9.ワーヤーロープの寿命
点検項目と代表例 廃棄基準
断線数が下表のロープは破棄する。
ワイヤロープの構成 1より当りの可視断線数
6×24 9
6×37 10
6×Fi(25) 5
6×Fi(29) 6
IWRCのものも同様の破棄基準とする。
摩耗によって、直径の減少が公称径の 5% を超えるもの。
腐食によって、表線表面にピッチングが生じて、あばた状になったもの。
【参考】 強度低下率
赤錆大:40〜50%
局部的によりが詰まったり、戻ったりしているもの。
【参考】 強度低下率
キンクの程度により 20〜40% の低下を生じる。
(1)著しくうねっているもの。
(2)又は、d1/d が4/3 以上になったもの。
(1)著しく表面がつぶれたもの。
(2)短径/長径が2/3以下になったもの。
著しい鋭角的な曲がりを生じたもの。
著しい疵を生じたもの。
アイ加工部
点検項目と代表例 廃棄基準
アイの頂点部で、著しく繊維心がはみ出したもの。
(1)アイ部分で、ストランドの緩みがあるもの。
(2)差し終わり部で、ストランドの抜けがあるもの。
局部止め部で、ロープの抜け出しがあるもの。
(1)スリーブに著しい曲がり、つぶれ、疵があるもの。
(2)スリーブが摩耗して、元の厚みの2/3以下になったもの。
(3)スリーブにき裂があるもの。
10.クレーンワイヤーロープの寿命
 クレーンのワイヤーロープは吊り荷重による繰り返し引張応力と、シーブによる繰り返し曲げ応力を受けるので、いずれ疲労破壊します。
下写真のように素線が断線し始めると、交換する必要があります。
 疲労破壊は吊荷重が大きいほど、荷重頻度が多いほど、シーブ径や巻取りドラム径が小さいほど早く進みます。






     

11.ロープ用取付け金具
 ロープを使用の際、その端部は普通11・7図のような方法で止めてから用います。

この取付け金具はワイヤーグリップおよびシンブル (thimble) とシャックル (shackle) というものですが、これらもJISに定められています。11・119表、11・120表はロープ用シンプルの形状と寸法を示したものです。






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