UL規格       HOME 技術資料室 技術用語
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 ULとは、Underwriters Laboratories Inc.(アメリカ保険業者安全試験所)の略称です。1894年アメリカ合衆国デラウェア州法によって、非営利団体として設立しました。火災、盗難その他の事故から、人命・財産を保護するための研究、試験、検査を行うことを業務としています。
 保険会社の支援の下に発足した ULは、現在では、一部の州、地方自治体ではUL認定が義務付けられています。ULの認証取得は任意にもかかわらず、アメリカの電気製品の多くはUL認定品です。

 ULの規格申請には、必要書類(設計図面、製品写真、パンフレット、取扱説明書、その他製品の構成情報等)と自由形式の申請書を送付し、試験を依頼します。
 UL側から正式な申請書と案内書等を含む書類が送付されます。
 予約金、署名済申請書、製品サンプル、申請書、署名済フォローアップ・サービス協定書(新規のみ)を送付します。
 UL側は、製品が安全規格に適合するかどうかの審査を実際に行い、合否を決定します。
 合格の場合は、製品試験結果と承認したULマークの種類を記載した最終レポートが送付されます。不適合の場合は、不適合箇所の指摘が通知されますので、仕様修正をし、再度製品を提出します。
 その後、フォローアップ検査員の訪問チェックを受けます。この訪問を受けておかないと、製品が合格した後、生産ができないケースもありますので、注意が必要です。
 すべての検査に合格すれば、 ULマークの仕様許可がでます。
 UL試験の時間やコスト削減のためにも、申請する製品の構造や特性がUL規格に適合しているかあらかじめ確認しておく必要があります。

<実際の手続き手順>
実際の申請時には代行会社とコンタクトをとる必要があります。 

1.日本での窓口
1)ユーエル日本
 ULについての日本の窓口としては、ユーエル日本(TEL:03−3571−3188)があります。こちらはアメリカULの現地法人ですので、正確かつ迅速に情報を提供してくれます。勿論、日本人のスタッフが懇切丁寧にサポートしてくれますので安心です。ただし、申請の受付などは行っていません。  また、1997年7月1日付で、日本におけるULのFollow-Up Service業務と工場検査業務を行っていたスタンダード試験社を統合しました。

2)UL申請代行会社
 ULに限らず、各種海外安全規格は申請の代行会社がいくつかあります。勿論日本の会社ですので、日本人のスタッフが日本語で応対してくれます。各社は試験用のラボなどを確保しており、申請から試験までを一貫して引き受けてくれます。ただし、当然の事ながら会社へ支払う費用は必要ですので、費用は増加します。トランスの場合ですと、 30〜40%程度割高になります。
 代行会社を通すメリットもあります。何より、日本語で話を出来るということは明白なメリットです。また、会社によってはラボで行う試験を見れるところもあるようです。
注意すべき点は、代行会社にも得手不得手な分野があるということです。電気系が得意な会社や化学系が得意な会社などがあります。勿論不得意な分野でも引き受けるでしょうが、こういったことはなにぶん経験がものをいいますので... 日本品質保証機構(JQA)でも申請代行を行っています。

2.見積り
 アメリカULと直接コンタクトを取るにしても、代行会社を通すにしても、最も気になるのは費用と認可までの期間及び試験に必要な製品サンプルの数です。まず、その部分を早めに確認されることをお勧めします。ここまでは費用はかかりませんので安心して依頼できます。その際には、製品の仕様や用途、マニュアルなどその段階で決まっていて用意できる、可能な限り多くの資料が必要になります(英語の資料が必要になります)。 この段階で最終仕様である必要はありません。途中で変更になった場合は、変更内容がはっきり分かる資料をすぐに送ればいいのです。ただし、費用が増加する場合もありますので注意が必要です。代行会社を通す場合は代行会社へコンタクトを取れば良い訳ですが、直接申請する場合はどこへコンタクトを取れば良いのかということになります。ULはアメリカにいくつかの拠点があり、担当部署が異なります。担当部署が存在する拠点の「Client Adviser」という部署に連絡をとればいいのですが、こういったことは前述のユーエル日本で調べてくれますのでお問い合わせください。

3.申請依頼
 この項目以下は、アメリカULと直接コンタクトを取った場合に限定してお話しします。代行会社を通す場合は、貴社とULとの間に代行会社が存在するという点を除けば、手順は全く変わりません。ULと直接コンタクトをとる全ての場合において注意すべき点は、「明確に文書で指示する」ということです。例えば期限について「できるだけ早く」とか「可及限速やかに」などや、「お忙しいところ恐れ入る」必要はありませんので「○月○日までに」と期限を切った方が賢明です。 また、「こんな要求は無理だろう」など恐縮することも、「こんなことは言わなくても分かってくれるだろう」と“あうん”の呼吸を期待することもお薦めできません。見積り依頼を出してから1〜2週間で担当者から回答が されます。この時点では申請は開始されていません。貴社から明確な「GO」の指示が出るまでULは待機していてくれます。貴社製品の仕様がほぼ固まり、見積り内容を承認して projectをopenすることになったならば、「GO」の指示を文書で出してください。この際もはっきりと指示してあげなければ、ULは動いてくれません。
もし、見積り内容に疑義がある場合は、その部分をはっきりと指定して問いただせばきちんと回答してくれます。また、完了予定日が貴社予定と異なっている場合も貴社の意向を明確にすれば、考慮してくれるはずです。

4.Project Open
 貴社から「GO」の指示を出した後はULから申請書と申請に関する資料が送られてきます。正式にそのProjectをopenするためには次の3つがULの手元に届く必要があります。ULはそれらが全て到着するまで、たとえ貴社から「GO」の指示が出ていたとしても projectをopenすることはありません。
 
1)申請書(サンプル書類)
Application for Investigation, Follow-Up Service and(Listing,Classification, Recognition)というタイトルの青い書類です。次の事項が既に記載されているはずです。
a. Applicant File No.・・・取得後貴社に付与される番号です
b. Project No.・・・今回の案件番号です。以後お問い合わせにこの番号を使用すると先方も探す手間が省けます。
c. Dept.・・・ULの担当部署番号です。
d. CCN・・・貴社製品のカテゴリーです。
e. 貴社名
f. 製品名、型番
g. 完了予定日
h. 担当者名
i. 製品カテゴリー
j. 予納金金額
 
2)予納金(preliminary deposit)
これは、ULに支払う頭金のようなものです。金額は前述の申請書に記載されています。予納金は見積り金額の一部であったり、全額であったりします。試験終了後に残金を精算する訳ですが、見積り金額から予納金を差し引いた金額に通信費や追加試験費などが加算された金額が請求されます。予納金の支払いは富士銀行などを通じて行いますが、詳しくはユーエル日本へお問い合わせください。
 
3)サンプル品
試験に必要な製品サンプルを送ります。代行会社を通す場合は代行会社の試験場へ送ればいいはずです。
 
4)修正箇所
前項の3点がULに到着し、projectがopenした後は、原則こちらは何もしなくても構いません。時々進捗状況を確認するFAXを入れるくらいでいいでしょう。ただ、途中で製品の仕様が変更になった場合などは、できるだけ速やかにULへ連絡しなければなりません。
また、試験の過程で問題箇所が発見されるとその旨ULから連絡が来ます。その場合は
 ・申請をそこまでで取り止める ・仕様を変更して再試験する
のいずれかを選ばなければなりません。問題の内容や程度によっては、「この部品に変更します」の連絡だけで済む場合もあります。
 
5) 合格通知
問題なく(または、いくつかの問題を解決して)試験をパスすれば、合格の通知が届きます。通知とともに次の2つの書類が送付されます。
@ Follow-Up Service Agreement(サンプル書類)
いわゆる“基本取引約定書”です。少しグレーがかった冊子で、貴社名などが既に印刷されています。必要事項を記入し、1部は貴社にて保管し残りをULへ送り返します。このFUS Agreement は初めての取引の時のみ送られてきます。2度目以降は送られてきません。この書類は以降ULとの取引が完全になくなるまで大切に保管しなければなりません。
AFollow-Up Service Procedure(サンプル書類)
いわゆる“製造手順書”です。このProcedureは大変重要な書類で、以後工場検査の際に必ず必要になりますので、常に分かりやすい場所に保管しておかなければなりません。
 
6) 初回生産検査
無事合格通知が届いてもすぐにULマークを貼付できる訳ではありません。IPI(Initial Production Inspection)という初回生産検査を受けなければなりません。この検査に合格して初めてULマークを貼付して製品を出荷できるようになります。
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