各設備の最大仕様の設計基準     HOME 技術資料室  技術用語
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 コイルセンターの設備の強度は一般的に最大板厚と最大板幅を基準に設計されています。設備仕様を超えた領域の通板加工を行う場合は、下記の数値を参考にして慎重にトライする必要があります。機械はすぐには壊れなくても、金属疲労が徐々に進んで破壊につながる危険があります。
設 備 強度の設計基準 備 考
平刃シャー t2 t:最大板厚
w:最大板幅
D:最大コイル外径
丸刃トリマー
レベラー t2×w
アンコラー t×w×D
リコイラー

<シャー本体>
 シャー本体にかかる剪断力の軽減を図るために、シャーの平刃には一般的にシングル又はダブルのレーキがつけられています。
板厚 t、平刃のレーキ角度α°、材料の剪断応力τとの間には、理論的には下記の関係式が成立します。
   剪断力 F=(t×L/2) ×τ
ここで L=t/tanα、従って
   F=t2×τ/(2 ×tanα)
 つまり、シャーの剪断力は t2 に比例し、板幅には関係しません。但し、レーキ角が非常に少ないかゼロの場合は、 F=t×W×τ になります。

<レベラー>
 レベラーは鋼板の曲げ応力がベースなので、断面係数 Z=t2×W/6 が設計強度の基準になります。

<アンコイラー・リコイラー>
  巻き取り及び巻き戻しに必要なユニットテンション(u=鋼板単位断面積当たりの張力)が十分取れるだけのトルクが設計基準になります。
張力 T は
  T= t×W×u(通常1.5〜2kgf/mm2程度)
なので、必要なトルクは
   T×R=t×w×u×D/2
となり、t×w×D が設計基準となります。

<その他の設備>
 他の設備も一般的には t2、又は t2 × W に比例した力が加わると考えるのが設計の基本的考え方になっているようです。但し、個々の設備に関してはメーカーの見解を聞いて見る必要があります。
 従って、仕様を超えるサイズを通板する場合は、設計上の余裕代を探りながら少しずつ慎重にトライしてみるべきです。 この場合、設備の寿命は疲労で決まるので、長期的に考える必要があります。
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