PL法 (Product Liability)    HOME 技術資料室 技術用語
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1.PL法とは(製造物責任法)
 これはアメリカで1960年台から発展し、わが国では「製造物責任法」として、1995年7月1日に施行されました。
 一言でいえば、消費者が欠陥製品によって被害を受けた場合に、損害賠償の申し立ての裁判が、これまでよりも消費者に有利になり、製造者には非常に厳しいものなります。
 この法律は内容をよく知って対応しないと、会社の存亡に係わる事故につながりかねません。
 例えば、鋼板の販売者が材料引当てを間違ったために、自動車の車輪が外れ、人身事故が発生したとします。PL法が成立する以前は、被害者は製造者のミス(この場合には、販売者の材料引当てミス) を立証しないと裁判に勝てなかったのですが、これは一般の消費者にとっては不可能に近いことで、それだけ製造者が保護されていたわけです。
 一方、PL法成立以降は、自動車の車輪が外れたことが原因で、人身事故が発生したことさえ立証できればよいことになりました。
 そうなると製造者は自社の無実を証明する必要がでてくるわけで、製造者にとっては非常に厳しい立場に立たされることになります。  

2.アメリカでの訴訟例
 アメリカではPL法に係わる訴訟は1970年頃から実例があり、最近では年間2万件近くの件数となっています。日本企業の代表的な実例を下記します。
企業名 原 告 の 主 張 評 決
ホンダ 三輪バギーが転倒し同乗者が下半身マヒ、「二人乗り禁止」の標示がない 和解金6億5千万円
トヨタ 乗用車が追突された際、燃料タンクのキャップが外れ、三人姉妹が焼死 賠償金5億円
日 産 乗用車の追突で、後部座席に投げ出され脊髄骨折、運転席に欠陥あり 賠償金9億35百万円

3.鋼板の販売者での対策
 鋼板の販売者として最も危険なのは、材料の引き当て時のミスと現品表の貼り間違いに よる異材出荷です。この対策としては、下記のような対策が最低限必要となります。
1)材料引き当てのルールを文書化し、必ず守る。
2)引き当てた材料の記録を残す。
3)現品表の貼り間違いをゼロにする。

 これらは、自社の危機管理と共に、顧客に対するCS活動そのものにもなります。
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