秤量器の精度管理    HOME 技術資料室 技術用語
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 商取引に使う秤量器 (特定計量器) の精度管理は法律で義務付けられています。(社内管理用のものは除く)
鉄鋼業界では重量での取引なので、「質量計」の「非自動はかり」という分類になりますが、その精度維持・保証のために遵守する必要があるのは、下記の3点です。

1) 法的に正式取引の計量器として認定された秤量器を使用する
2) 秤量器の定期的精度維持管理を行う
3) 許容公差の確認・遵守

 
  1) 新規に秤量器を購入する場合、それが計量法による公的な検定に合格していることが必要です。
現品秤量器には刻印・検定証印や検定ラベルが貼られていることが必要で、これで法的に正式取引の計量器として認定されたことになります。

 
  2) 取引に使用する秤量器は定期的に標準原器等(標準分銅など)で正しく校正された状態にする必要があります。
日本の計量法では2年ごとに定期検査が必要です。
ISO9001を取得している場合には秤量器の管理がISOで決めた手順どおりに実施されていればOKです。

 計器の精度管理に関しては、ご存知の通りISO9001の「7.6監視機器及び測定機器の管理」に以下のことが規定されていますので念のために要旨を転記します。

a) 定められた間隔又は使用前に、国際又は国家計量標準にトレース可能な計量標準に照らして校正又は検証する。
→(一般的には定期的に社外専門業者に校正委託する。原器にトレース可能であれば社内校正でも良い)
b) 機器の調整をする、又は必要に応じて再調整する。→(ゼロ点チェックなどを適宜やる)
c) 校正の状態が明確にできる識別をする。→(有効期限内の機器で測定していること)

 計量検査所など、外部校正で信頼できる組織に依頼すれば、国際又は国家計量標準にトレース可能になります。その際、有効期限内に外部校正した検定証明書(精度保証)を保管することが必要です。

 社内校正としては標準分銅などとすり合わせて重量が正確にわかった基準製品を作っておき、定期的に計量して正しく表示されるかを確認するのが一般的です。
 
  3) 次に、秤量器による測定誤差の許容範囲です。
日本の鉄鋼業界で行われている秤量器の管理内容の例を参考までに下記します。

<秤量器の測定精度管理許容公差>
@ 測定範囲100kg〜20ton以内:±10kg以内
A 表示部の目盛:1kg

<秤量器の管理>
@日常点検:使用開始時にゼロ点チェック、表示部のチェック
A月次点検:定期点検票に従って社内点検
B外部校正:2年以内に外部検定機関に校正委託(検定証明書入手)
となっていて、すべて記録を作成保管する必要があります。
 
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