ハイテン(高張力鋼板、HSLA:High Strength Low Alloy Steel) 「自動車用ハイテン」参照 HOME 技術資料室 技術用語 =============================================== ![]() 鋼材を短冊型に切り出して引張力を加えてゆくと、下図の様に次第に伸びて行き最後に破断します。3)のネッキングが発生すると、その部分の断面積が減少するため、その後の変形がこの部分に集中して、少ない力で破断に進んでしまいます。 ネッキングが発生する直前の力を「抗張力」(TS:Tensile Strength)といい、「鋼板の強度」というと一般にこの値を意味します。 自動車などの設計する場合、鋼材の強度はこの「抗張力」をベースに、ある安全率を掛けて設計します。 2.ハイテン ハイテンはこの抗張力を普通鋼よりも高くして強度を強めた鋼で、正式には高抗張力鋼板(High Tensile Strength Steel)ですが、略してハイテン又は高張力鋼板といいます。上図で3)のネッキングを起こすに必要な力(抗張力)が高い鋼材を意味します。 自動車車体等には高抗張力でなおかつプレス加工性が必要になりますが、それには添加する元素の量にはおのずから限界があり低合金に抑える必要があるため、世界ではHigh Strength Low Alloy Steel (HSLA)という名前で呼ばれています。 尚、「高張力」と「抗張力」とは異なる意味ですので、使い分ける必要があります。 3. ハイテンの作り方 鋼材の抗張力を高くする最も簡単で安価な方法は、鋼中の炭素(C)の含有量を増やす方法ですが、この方法では硬いけれどもろい鋳物になってしまい、加工性が著しく劣化します。 最近自動車メーカーが自動車の軽量化のために盛んに採用しているハイテンは、自動車の車体用で、かなりの絞り加工が出来なければなりません。 このために、抗張力は高く、かつ加工性も高い鋼材が必要とされ、日本の鉄鋼メーカーがこの30年くらいの間に、世界に先駆けて加工性の優れたハイテンを開発しました。 高加工性を保ちながら抗張力を高める方法と原理は下表のとおりですが、かなり専門的な話になりますので詳細は省略します。
4.ハイテンの特性 |
||||||||||||||||||
![]() (新日鉄の例)
|
||||||||||||||||||
5.特殊ハイテン 上記の標準的なハイテンの他に、客先での加工後の塗装焼付けの段階で強度が上昇するハイテンもあり、焼付け硬化性ハイテン(BH:Bake hardenning)があります。これは焼き付ける温度(170℃×20分程度)で鋼中に溶けていた元素が析出して強度を上げるものです。 6.自動車車体への適用例 |
||||||||||||||||||
=========================================== HOME 技術資料室 技術用語 JIS規格 |