スリッターラインのカッタースタンド HOME 技術資料室 技術用語 ================================================ ![]() 1.丸刃のセットアップ スリッターラインのカッタースタンドで丸刃をアーバーに固定する方法として、下記のような方法があります。 |
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1)スペーサーを丸刃の間に挟み軸方向に締め付けて固定する方法 | |||
2)油圧によってアーバーを拡径して丸刃を固定する方法 (HES) | |||
3)丸刃を油圧式ホルダーにねじ止めし、ホルダーの油圧でアーバーに固定する方法 | |||
(1)スペーサー方式 従来一般的に用いられているのがスペーサーを丸刃の間に挟んで丸刃の間隔を固定する方法です。(下図参照) |
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スリッターラインの丸刃の締付けは従来エンドナットをハンマーで叩いて締付けていたために、締め付け力が不安定な上に重いハンマーを狭い場余で正確に扱う作業が必要でした。 これの代わりとして下図に示す装置は封入された油にT型ハンドルを回して圧力をかけるだけで、少ない力で容易に一定の締め付け力で刃物を固定することができます。3K ナットとフローティングシートは各々メーカーの固有名詞ですが、原理はどちらもほぼ同じです。「機器・備品のメーカー」参照。 |
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![]() 新方法 従来の方法 ![]() |
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メーカーにより締め付け力をインジケーターで読み取ってコントロールする方法とトルクメーター付きのT型ハンドルを使う方法があります。 アーバー外径の寸法公差は、通常+0〜−0.005 mm 程度で、これに対する丸刃の嵌め合いの間隙は、一般的には30〜40 ミクロン程度です。 丸刃とスペーサーを人力でアーバーに組み込む作業では、腰痛などの原因になる危険があり、刃物台とアーバーの高さを身長に合わせて調整可能にしたり、刃物台との距離を短くするなどの工夫が必要です。 尚、一般的にアーバーにはキーは付いていません。キーがあると丸刃及びスペーサーの着脱時に回転させながら着脱できないために作業が非常に困難で時間がかかります。従って丸刃の回転力は丸刃を軸方向に絞めこむ力により得られる摩擦力で確保する必要があるため、ある程度以上の締め込み力が必要になります。 刃組み作業は、ロボットを使った完全自動刃組み装置が開発され、やや高価ではありますが導入され始めています。 刃組の終わったカッタースタンドを、使い終わったライン内のカッタースタンドと入れ替える方法としては、 @クレーンで吊り出し・吊り込みを行う旧来の方法 A交換台車方式 等があります。 |
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(2)油圧拡縮方式(HES) スリッターラインの丸刃を固定する軸(アーバー)自体を2重構造にし、中に油圧を掛けて膨らませることにより丸刃を固定する方式をHES (Hydraulic Expansion System) と云います。従来方式のように丸刃と丸刃の間にスペーサーを入れて固定する必要が無いため、オンラインで刃のセット替えを容易に行うことができます。 これを使うとッスペーサーが不用になるのと、カッタースタンドの交換が不要になるなどのメリットがあります。 他方、丸刃を固定する力には限界があるため、余り厚い鋼板のスリットは向かないこと、また丸刃をアーバーに直角に固定するためのホルダーが必要なことから、丸刃間の最小間隔はホールダーの幅で制約され、スリット可能なフープの最小幅が制約されます。 |
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2.丸刃 |
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(1) | 丸刃が磨耗や刃欠けになった場合は、一般的に外周を研磨して再生します。但し、この場合一組のカッタースタンドに組み込まれる丸刃の径は同一でないと周速に差が出るので、丸刃は使用していないものも含めて常にセット単位で一括研磨する必要があります。2セット以上の丸刃を用意しておき交互に研磨します。研磨機(グラインダー)は社内で持つ場合と外注する場合がありますが、使用頻度によって特質があります。 | ||
(2) | 刃物の材質や亜鉛のビルドアップなどについては「刃物関連情報」参照 | ||
3.スペーサー |
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(1) | スペーサーの幅精度が製品の幅精度と切断面の品質を決めるので、特にスペーサー側面の仕上げ精度・疵・ゴミ付着などに注意する必要があります。 | ||
(2) | 各スペーサーの幅精度は 1/1,000mm〜1/10,000 が必要です。 | ||
(3) | どのような幅の組み合わせでスペーサーを揃えるかによって、スペーサーの種類・数量が変化するので、新規購入時に十分検討する必要があります。素数での幅の組み合わせでスペーサーの数を減らしているメーカーもあります。(ASCO社/USA 等) | ||
(4) | 軽量化したスペーサーが商品化されており、樹脂系のものやアルミ系のものなどが市場に出ていまが、耐久性にやや弱点があるようです。 | ||
4.板押さえ 板幅精度を確保するには、丸刃間で鋼板のバタツキや反りを押えて精度良くスリットする必要がありますが、その方法としてはスペーサーにゴムリングをはめて押さえる方法のほかに、フィンガーという渡し板で押さえる方法等があります。 (1)ゴムリング方式 ![]() スペーサーとゴムリングは焼き付けて一体化したものと、単にはめ込んだものとがありますが、焼き付けて一体化した場合は、丸刃の外径に合わせて研磨するなど、管理がやや面倒な点があります。 ゴムリングの外径は丸刃の径に合わせてそろえる必要があります。丸刃径よりもやや小さくしておかないと、相手の丸刃との間に挟まれて鋼板に刃肩疵が入る危険があります。 (2)フィンガー方式 専用の串型の板押えをカッター軸の前後に通して固定し、上下から鋼板を挟みこむ方法です。昔はフィンガーが主体でしたが、ゴムリングが導入されてからはフィンガーは少なくなりました。 |
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1) | フィンガーは丸刃のセット変えの度に取り外す必要があって作業性が悪く、また表面疵発生の可能性もあるのでゴムリングに移行していったと言える。 | ||
2) | しかし、スリット精度を追求されるものには、フィンガーは欠かせない。薄手・幅狭(多条取り)のスリット精度確保には必要な設備である。数値的には難しいが、薄手、幅狭になる程、スリット精度が厳しく要請されることが多くなる。 | ||
3) | 対象材は、珪素鋼板をはじめ、アルミ、SUS 等薄手・幅狭(多条取り)のスリット材に適用されている。 | ||
4) | フィンガー材質もベークライト、木材等あり、これに紙、フェルト等が貼りつけてある。 | ||
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